公益財団法人江副記念リクルート財団アート部門奨学生による第2回展覧会「漂進」を、
2026年7月29日から8月9日まで、東京・Awase galleryにて開催いたします。
2025年に開催された前回展「回帰観測」に続く本展では、アメリカ、イギリス、ドイツ、
オーストラリアなど、異なる国や地域で活動・研究を続ける5名のアーティストが参加しま
す。彫刻、写真、サウンドアートなど多様な実践を通して、それぞれの経験や環境、他者と
の出会いが、どのように制作や視点を形成しているのかを提示します。
本展は、「私たちはいつ、何に帰属意識をもつのか?」という開かれた問いから始まりま
す。本展においてアイデンティティとは、固定された単一の属性としてではなく、それぞれ
の記憶、価値観、関係性、社会的背景の積み重なりによって形づくられるものとして捉えら
れています。参加作家たちは、それぞれがなぜ今ここに立っているのか、その背景にある経
験や感覚を見つめ直します。異なる文化や社会のなかで生活し、制作を続けることは、必ず
しも明確な答えや安定した帰属意識を与えるものではありません。むしろその過程で、互い
に共有しえない差異と、予期せぬ共通性の両方が浮かび上がります。本展では、「自分に
とって何が重要なのか」を問い直すことを通して、個人を形成する複雑で重層的な条件につ
いて考察し、さらなる制作への発見点とします。
タイトル「漂進」は、確かな足場を持たないまま、それでもなお進み続ける状態を示してい
ます。水が異なる環境を通り抜けながら、その場所の痕跡を帯び、かたちを変え続けるよう
に、作家たちの実践もまた、土地や経験、他者との出会いを内包しながら変化し続けていま
す。本展は、不確実さを解消することではなく、その複雑さや揺らぎのなかを進み続ける過
程そのものに目を向けます。それぞれ異なる軌跡をもつ作家たちの実践を通して、本展が移
動、記憶、環境、そして日常的な経験によって形づくられる現代のあり方について考える契
機にすることを目的ともしています。

